李世先輩は私のことを知り尽くしている?
そうだ、私のスクールバッグが、ない!
地面を見回すと、少し離れた場所に落ちていた。
転んだ拍子に、あんなところまで飛ばしてしまったらしい。
中身は無事かな……。
「君、大丈夫?」
再び降ってきた心地のいい声に、ハッとする。
そうだ、私ったら、なんて失礼なことをしてたんだろう。
助けてもらったんだから、お礼を言わなくちゃ。
……でも、どうしよう。
『あれ』が気になって、仕方ない。