李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「みんな、優勝目指してがんばろうね」
「は、はいっ!」
「去年は優勝すると、テーマパークのチケットがもらえたんだよ」
「ええっ、メンバー全員分ですか⁉」
「ああ、そうだ」
す、すごい。
これは、本気で優勝を目指してみたい……かも。
話しながら待っているうちに、いよいよ7、8班が呼ばれた。
「この二班は9時半出発だな。では、よーい――……スタート!」
「よしっ、行くよ!」
李世先輩の音頭とともに、大きく一歩を踏み出す。
走れないとなると、自然と早足になってしまう。
木のおかげで日があんまり当たらないし、風も涼やかだから、長袖でも快適だ。
5分ほど8班の人と同じスピードで進んでいると、最初の分かれ道に突き当たった。
8班は、左のルートを選んだようで、さっさと歩いていってしまう。
「ど、どうしよう?」
「せっかくだし、8班と違うルートにしようか?」
「ですね!」
そういうわけで右のルートを進んでみると……おそらく『当たり』だった。
平坦な道のりで、次の分岐までスムーズにたどり着くことができたから。
でも、次に選んだ道は厳しい傾斜があって、なかなか前に進めなかった。