李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「みんなも、それでいい?」
李世先輩の言葉に全員がうなずいた。
――私を除いて。
「陽茉ちゃん?」
「……すみません。必ず追いつくので、先に行ってください」
「ちょっと、陽茉⁉」
私はすうっと息を吸い込むと、思い切って立ち入り禁止の道を進む。
今までの道とは違って、傾斜はあるし、足場は大小さまざまな石がむき出しになっていて、かなりすべりやすい。
古瀬くんの言っていた通り、さらに水気もあって、気を抜くとつるりと足がとられてしまいそうだ。
そして両サイドは、ちょっとした崖のようになっている。
一応ロープや柵はあるけど、勢いよく転んだら一緒に落ちてしまいそう。
私は這うように両手両足を使いながら、つぼみちゃんたちの後を追う。
……グループのみんなには、悪いことをしちゃったな。
でも、どうしても、つぼみちゃんのことが気になって仕方なかった。
つぼみちゃん、いつもと変わらないように振舞っていたけど、実は高所恐怖症なんだ。
中学のとき、ちっちゃな観覧車でも、「怖い怖い」って言って乗らなかったのに。
こんな不安定な道、もっと怖いに決まってる。
登るスピードを上げようとした時だった。
「きゃあああっ!!!!」