李世先輩は私のことを知り尽くしている?
疑問を抱えながら、私もつぼみちゃんと一緒に念のために病院へ行って、手当をしてもらった。
つぼみちゃんは落下したときの衝撃で、やっぱり何か所か骨折してしまっていたらしい。
でも、命には別条がないようで、本当によかった。
先生の車で宿泊施設に到着すると、ずっと待っていてくれたのか、李世先輩が入り口に立っていた。
一度私の姿を捉えると、じいっと見つめ続けてくる。
……が、眼力がすごい。
すごすぎて、なにか言わなくちゃ、という気になってくる。
「あの、先輩。色々とありがとうございました。迷惑をかけてしまって……」「陽茉ちゃん」
私の言葉を、李世先輩が遮った。
無表情のまま、一歩一歩、私との間合いを詰める。
「あ、あの、李世、先輩……?」
私と先輩との距離が、わずか拳2,3個分まで縮まった。
今度は、先輩の瞳に写る自分の姿が、はっきりと見える。
そのまま、先輩の顔が、体が、私に一気に近づいてきて……
両腕を私の背中にまわすと、ギュッと私を包みこんだ。