李世先輩は私のことを知り尽くしている?

まさかの行動(Side李世)

Side 李世

二日目の午前中は、オリエンテーリングもとい、山登りだ。


運×タイムアタック制という今年のルール設定はなかなか面白い。


なにより、一夜が明けて陽茉ちゃんにすっかり笑顔が戻っていたので、俺はほっとしていた。




オリエンテーリングが始まると、グループで楽しみながら道を選び、進んでいく。



しかし、再び陽茉ちゃんの表情が曇る瞬間が来てしまう。


選んだ道の先で、あのつぼみちゃんと鉢合わせてしまったのだ。


つぼみちゃんは相変わらず陽茉ちゃんに冷たい態度をとって、同じ班の二年になにやら声をかける。


……あの二年、良いウワサを聞かないんだよな。



よからぬたくらみをしていなければいいけど。



しかし、そんな俺の願いは、見事に外れてしまう。



「……おかしいな」




つぼみちゃんのいる班が、左の道を進んでいったのを確認した古瀬くんが、ぽつりとつぶやいた。



「古瀬、どうかしたのか?」




青矢の問いに、古瀬くんは静かに答える。



「今、あのグループが歩いていった道は、禁止されてるルートなんです。近道できるけど上級者向けのルートで、加えてこの時期は雨で足場が滑りやすくなっているからって」


「つまり、あの班はズルをしたってこと?」

「だろうね」



……ったく、アイツらめ。

危ないことに、一年まで巻きこんで……。
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