李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「どうします?このままスルーしますか?それとも、先生にチクります?」
「うーーん、あそこの班の二年、悪いウワサも多いしあんまり関わりたくないけど……誰かがケガしてからじゃ遅いからね。次、先生に会ったら報告しようか」
気は進まないけど、仕方がない。
一年生たちに、罪はないんだから。
「みんなもそれでいいかな?」
俺の問いかけに、みんな賛同してくれた――と思いきや、一人だけ、思い詰めたような、深刻な顔をして、立ち尽くしていた。
「陽茉ちゃん?」
「……すみません。必ず追いつくので、先に行ってください」
「ちょっと、陽茉⁉」
葉山ちゃんの制止もスルーして、陽茉ちゃんは危険な道に突っこんでいく。
正直、驚きだった。
どちらかというと奥手な陽茉ちゃんが、こんな大胆な行動をとるなんて。
それくらい、つぼみちゃんというのは大切な友人なんだろう。