李世先輩は私のことを知り尽くしている?
陽茉ちゃんがどこで滑落したかは、つぼみちゃんの班のやつらがその付近で呆然と突っ立っていたので、すぐに分かった。
のぞきこむと、地面に横たわるつぼみちゃんの肩に手を添えている陽茉ちゃんの姿があった。
全身土だらけで、一気に不安が高まる。
「おーい、陽茉ちゃん、聞こえるーっ⁉」
「は、はい、聞こえます!」
声をかけると、陽茉ちゃんはすぐにこちらを振り向いて、ふにゃりと微笑む。
よかった、ひとまずは大丈夫そうだ……。
でも、つぼみちゃんは地面に仰向けになったまま動かないので、かなり重症なんだろう。
「今、どういう状況ーっ?なにかいる物はあるーっ?」
俺の問いかけに、陽茉ちゃんはなかなか答えない。
元々話すことが苦手なようだし、緊迫感が緩んだことで、疲れた頭がうまく回らないのかもしれない。
この距離から心を読んだことはないけど……今こそ、俺の力が役立つ時だろう。
「陽茉ちゃん、俺の目を見て!」
陽茉ちゃんは少し戸惑いながらも、じっと俺の瞳を見つめる。
意識を集中させると、ぼんやりと陽茉ちゃんの心の声が聞こえ始める。
【李……輩、急に……ちゃったん……う?】
よし、あと少し……このまま、このまま――。
【どうやって伝えよう……?まず、つぼみちゃんは上から滑落して骨折してるかもで、痛みで体を動かせないことを言って……。ああ、自分のことも言わなくちゃ。私はかすり傷くらいで、全然平気。】
かすり傷というキーワードに一瞬気が緩んだが、すぐに意識を研ぎ澄ます。