李世先輩は私のことを知り尽くしている?
そんなことを思いながら、持っていたランタンをどうにか配り終える。
李世先輩が持っている残りは、私たち7班の分だ。
さて、どういう組み合わせでランタンを飛ばすんだろう。
やっぱり、私と梓ちゃん、李世先輩と遠見先輩、残り一つは古瀬くん、かな?
「李世先輩、一つランタンをいただけますか?」
「どうして?」
「梓ちゃんと一緒に飛ばす分は、私が持ちます」
「ダメ」
「ありが――えっ……?」
ランタンに向かって手を伸ばした手を、ふいと避けられる。
り、李世先輩、今、ダメって言った……?
私が目をパチクリさせていると、李世先輩は私の鼻先をトンとつつく。
「陽茉ちゃんは、俺と一緒に飛ばすんだから」
「わ、私が、李世先輩、と……⁉」
「俺は、ランタンを一緒に飛ばすと結ばれるっていうジンクスを信じてる。で、陽茉ちゃんと一緒にランタンを飛ばしたい。――この意味、分かるよね?」
こ、この意味って……つ、つ、つ、つまり……。
「李世先輩は、私のことを………好きってことですよね?」
「そういうこと。……一緒に、飛ばしてくれる?」
李世先輩のお誘いに、私はうなずく。
「は、はい、もちろんです!私も先輩のこと、好きですから」
すると、李世先輩は驚いたように顔を上げて、宙を漂っていた視線が私の視線とぶつかる。
「ほ、本当に⁉嬉し――」
その直後、李世先輩はなぜか、ピシっと固まる。
「はい!李世先輩とお話しするの、楽しいですし、ジンクス通り、これからもぜひ、仲良くさせてください!」
「……う、うん、こちらこそ、仲良くしてね」
……李世先輩の様子が、おかしいような。
私と李世先輩が仲良く、だなんて、調子が良すぎたかな……⁉
「……や、やっぱり、私と仲良くなんて、ジンクスがあっても、難しいですよね……」
「いやいや、ぜひ!俺と仲良くしてください!」