李世先輩は私のことを知り尽くしている?
――という一連のやりとりを、合流したグループのみんなに話すと、なぜか大笑いされて。
「あー、笑った笑った。さすがに菊里先輩が不憫だわ~」
「二人で芸人でも目指したらどうだ?」
梓ちゃんや遠見先輩はともかく、普段クールな古瀬くんにまで、鼻で笑われちゃった。
何がそんなに面白かったんだろう……?
あっそうだ、今のうちに何枚か写真を撮っておこうっと。
オリエンテーリングのときは、ハプニングのせいで一枚もとれなかったからね。
「よーし、それじゃあ点灯するぞー!」
無事に写真を撮り終えると、先生のよく通る声を合図に、ランタンに火をともす。
「俺がつけるよ」
李世先輩が、小型のチャッカマンで下部の燃料部分に火を当てた。
「点灯は済んだかー?3,2,1――」
0のタイミングで、みんな一斉に、ランタンからそっと手を離す。
私と李世先輩もはにかみながら、一緒にランタンを送り出した。
ランタン1つ1つが、吸い込まれるように宙をのぼっていく。
数百個のランタンが暗闇をぼんやりと照らす光景は、本当に美しくて。
歓声もまばらに聞こえるものの、大半が息をのんで空を見上げている。
かくいう私も写真を撮ってからずっと、ランタンがあがっていく様子を眺めていた。
幻想的な風景に、首を痛くなってきても、目を離すことができない。
「陽茉ちゃん」
ふと、李世先輩に名前を呼ばれた。