李世先輩は私のことを知り尽くしている?
ゆっくりと首と頭を動かし、振り向くと。
それに合わせるように、そっと李世先輩の右手が、私の頬を包んで。
――そのまま一気に、私と李世先輩の唇が重なった。
「…………え、あ……え?」
自分の唇に触れながら戸惑う私に、李世先輩は目を細める。
「陽茉ちゃんに対する『仲良く』って、俺にとってこういう意味だから」
李世先輩は真顔でそう告げた後、浮かび上がるランタンに、再び視線を移した。
……こういう意味って……今、私、キス、したよね?
李世先輩が、私にキス……?
きゅ、急に、どうして……?
ほのかな明かりに照らされたそのキレイな横顔は、なにを考えているんだろう。
――李世先輩。どうして今、私にキスしたんですか?
私と李世先輩のランタンは、ひと際高く昇って、やがて見えなくなった。