李世先輩は私のことを知り尽くしている?

意を決した私は昼休みに、二階にある2-Aへ向かった。


わいわいと上級生の楽し気な会話が聞こえてきて、尻込みしてしまう。



きっと会話の中心に、李世先輩がいるんだろうなあ。


そう思って、開いていたすりガラスの窓から、そっとクラスをのぞいてみる。


でも、大きな輪になって話しているグループには、李世先輩の姿は無かった。



どこにいるんだろう?ひょっとして、トイレに行ってるとか?



そう思いつつ、奥の方まで確認すると、自分の席で静かに教科書を読んでいる李世先輩を見つけた。


ちょっと意外に思っていると、その周りに三人組の女子がやって来て、ニコニコしながら李世先輩に話しかける。



……三人とも、すごくかわいい。


話すのが上手な李世先輩のことだから、すぐに会話を盛り上げられるんだろうなあ。


しかし、そんな私の予想とは裏腹に、李世先輩は控えめな笑顔を浮かべながら女子に何やら話すと、すぐに視線を教科書へと移した。


女子三人組は少し不満そうな顔つきで、教室から出てくる。




「また断られちゃったね~」

「今度一緒にお弁当食べようって言っただけなのに」

「李世って人当たり良いけど、なーんか距離があるっていうか」

「それな」





距離がある……?



私は李世先輩と一緒にいて、あんまり感じたことがなかったけど……。


むしろ、近すぎるくらいっていうか。
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