李世先輩は私のことを知り尽くしている?

一人で納得していると、江真くんが私の顔をのぞきこむ。




「陽茉って、この後部活とかある?」


「ううん、ないよ」


「オレも。じゃあ、一緒に帰ろうぜ。家まで送っていくから」




確かに、一緒に下校するのはカレカノっぽいけど……。





「わ、私、電車通学だから、駅まででいいよ。家、けっこう遠いから、申し訳ないし」

「いいのいいの。遠ければ遠い分、いっぱい話せるし」




なるほど、そんな考え方もできるんだ……!




こういうところも、江真くんがモテる秘訣なんだろうか。


素直に驚いていると、江真くんは私の腕を引く。




「ほら、行こう」




そのまま私たちは、一緒に学校を出て、駅に向かった。



江真くんは、すごく話し上手だ。


教師や学校行事など、私と共通の話題を挙げたり、一方で江真くん自身のことを教えてくれたり、私のことを聞いてくれたり――と、会話が全く絶えない。


それに、ただ会話が続いているだけじゃなくて、楽しくて、つい笑みがこぼれてしまう。



「江真くんって、話し上手だね」




思わずそうつぶやくと、江真くんはさらっと、



「陽茉が聞き上手なんだよ」



と返す。




聞き上手、なんて言われたの、初めてだな。


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