李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「あんたたち、なにやってんの?」
ギュッと目をつむっていると、誰かが私を囲んでいる女子に声をかける。
「あ、先輩!聞いてくださいよ、こいつ、江真くんと――」
「先輩」と呼ばれた女子生徒は、チラリと私の顔を一べつすると、へらりとした笑みを浮かべた。
「ああ、この子ね。いいのよ、放っておいて」
「えっ⁉で、でも……」
「だから、こういうことなの」
「先輩」が他の女子たちにこそこそと耳打ちする。
すると、不満そうにしていた女子たちはたちまち、「先輩」と同じいやらしい笑顔になる。
「ふふ、せいぜい楽しい時間を過ごすことね」
そう言って私の肩をたたくと、みんなして去っていってしまった。
た、助かったみたいだけど……。
「先輩」の話を聞いて、どうしてあっさりと私を脅すのをやめたんだろう。
一体、なんて言われたのかな……。