李世先輩は私のことを知り尽くしている?
……運よく、めちゃくちゃ良いヤツだったようだ。
ふとした拍子に傷つけられずに済んで、俺は胸をなでおろす。
慣れてはいるものの、心の準備ができていないと、やっぱりキツイから。
「菊里!すまんが、こっちも手を貸してくれ!」
「はい!」
先生に呼ばれて、新入生に配る書類を運ぶのを手伝う。
「菊里、せっかくの休みにすまないな」
「いえ。初々しい新入生を見て、なんだか懐かしくなれました」
「はは、そうか。確かに、新入生は見ていてかわいいよな」
【ま、一週間も経てばただのクソガキになるがな】
「……そうですね」
まあ、教師の本音にも中学生の頃にはもう、なにも思わなくなったけど。
――俺には、生まれつき、ある特別な力がある。