李世先輩は私のことを知り尽くしている?
それからはできる限り先生と視線を合わせないようにして、何往復かする。
ようやく解放されると、入学式の時間が近づいてきたようで、外にはすっかり人がいなくなっていた。
そんな中、小柄な新入生が一人、重い足どりで門を抜けていった。
「新入生はもうすぐ入場だぞー!教室へ急げー!」
教師に急かされると、パタパタと走り出す。
でも、なじんでいないローファーのせいでつっかえたのか、盛大に転んでしまう。
うわー……転んだ先がアスファルトじゃなかったとはいえ、痛いだろうな。
さすがに遠目で眺めているわけにはいかず、新入生に駆け寄る。
起き上がろうとしている新入生に、俺はかがんで手を差し伸べる。
新入生は、なんの躊躇もなく、俺の手をつかんだ。
うわ、手、ちっちゃいな……。
立ち上がると、新入生のスカートは土だらけになっていた。
かわいそう、新品だろうに。
声をかけてみるも、どこか様子がおかしい。
やっぱり、スカートを汚してしまって、ショックを受けているんだろうか。