李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「君、大丈夫?」
うつむく新入生に、もう一度、なぐさめるように話しかける。
「スカートなら、洗えばちゃんとキレイになるよ」
すると、ようやく新入生のまぶたが持ち上がった。
そのまま、新入生の瞳が、俺の瞳に映る。
【お弁当、無事かな。バッグの中でぐちゃぐちゃになってたら、どうしよう……】
「だから、安心して――――……ふふっ」
新入生の心の声が飛びこんできた瞬間、俺は吹き出して、言葉を止めてしまう。
なにか不安なことがあるのは察していたけど、まさか土まみれのスカートじゃなくて、お弁当のことだったなんて!
人の心を読んで、こんなにも暖かくなったのは、いつぶりだろう。