李世先輩は私のことを知り尽くしている?

「あ、えっとね……」





口を開いたものの、言葉に詰まる私。


でも、梓ちゃんは嫌な顔一つせず、私を待ってくれている。


にこやかなその表情が、本当にうれしくて。


家から片道一時間半かかるこの緑央高校に進学して、ものすごーく不安だったけど……

梓ちゃんが後ろの席で、ホントによかったあ。



私はあったかい気持ちになりながら、ゆっくりと唇を動かす。





「校庭にある、おっきい桜の木、いいなって思って」


「あー、確かに!お花見なんかにピッタリよね。お弁当を食べるのも忘れて、ずっと上見ちゃいそう」
< 3 / 201 >

この作品をシェア

pagetop