李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「あ、えっとね……」
口を開いたものの、言葉に詰まる私。
でも、梓ちゃんは嫌な顔一つせず、私を待ってくれている。
にこやかなその表情が、本当にうれしくて。
家から片道一時間半かかるこの緑央高校に進学して、ものすごーく不安だったけど……
梓ちゃんが後ろの席で、ホントによかったあ。
私はあったかい気持ちになりながら、ゆっくりと唇を動かす。
「校庭にある、おっきい桜の木、いいなって思って」
「あー、確かに!お花見なんかにピッタリよね。お弁当を食べるのも忘れて、ずっと上見ちゃいそう」