李世先輩は私のことを知り尽くしている?
驚いたのもつかの間、李世先輩の出番がやってくる。
一礼をして。
改めてスタートラインに立って。
かがんで、クラウチングスタートの姿勢をとって。
軽いホイッスルの後に、片方の足を伸ばして。
パンッ‼
合図とともに、李世先輩はまるで弾丸のように飛び出す。
たった一秒未満の瞬間で、先輩はすでに周りと差をつけていた。
その圧倒的なスタートに、わあっと歓声があがる。
勢いが弱まることはなく、むしろぐんぐんと伸びていって。
かろやかに地面を蹴って進む様子は、まるで羽が生えているみたいだった。