李世先輩は私のことを知り尽くしている?
グラウンドから陽茉ちゃんを見上げて分かるのは、陽茉ちゃんが俺を本気で応援してくれているということだけ。
……くそっ!
本当だったら、俺はすごく喜んでいたはずなのに、素直に喜べない。
それどころか、イライラさえする。
せっかく来てくれた陽茉ちゃんにそんな感情を向ける自分に、また腹が立って。
俺はとうとう陽茉ちゃんから目を逸らして、背を向けた。
今はただ、競技に集中しよう。
そう誓ったのにも関わらず、一発目は無様な飛び方をしてしまった。
それからはなんとか立て直して、一位を獲ることができたけど……。
俺の心にかかった霧が晴れることはなかった。