李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「ちょっと、陽茉を見ていきなり笑い出すなんて、失礼じゃないですか?」
梓ちゃんがむっとした口調で問いただすと、先輩は立ち上がる。
「そうだね、ごめん。陽茉ちゃんが食べ物のこと考えてたのが面白くて、つい」
先輩の言葉に、私の顔はリンゴみたいに赤くなる。
そんな私の反応に、李世先輩はにやりと唇の端を持ち上げた。
「ふふ、当たり?」
……大当たりだ。
でも、でも、口には出してないはずなのに……‼
「陽茉っ、もう行こ!」
氷みたいに固まってしまった私。
見かねた梓ちゃんが、李世先輩をにらみつけ、私の腕を引く。
「またね、陽茉ちゃん」
李世先輩は、梓ちゃんの眼光をものともせず、ヒラヒラと手を振っている。
会話が終わって、周りにいる人たちへと気が向くと。
私たちの奇妙なやり取りを、みんなが不思議そうに眺めていた。
『あの二人って、どういう関係?』
――って、考えてるんだろうな……。