李世先輩は私のことを知り尽くしている?
波乱の自然教室
混合グループ
陸上の地区大会に李世先輩を応援しに行ってから、はや二週間。
徐々に梅雨の時期が近づき、教室に吹きこむ湿った風にのせて、先生の高らかな声が響く。
「はい、注目!今日の総合の時間では、みんなお待ちかねの自然教室について色々決めていくぞ!」
高校生にもなり、普段は気だるげな雰囲気の立ちこめるクラスが、明るくざわめく。
お泊りアリの行事である自然教室は、学校生活の中でも人気の高い一大イベントだからだ。
それに――。
「せんせー、混合グループはどうなったのー⁉」
「まだその情報は一年側に来てないんだよ。でも多分、この時間中には分かると思うぞ」
先生の返答にクラスメイトたちは顔を見合わせ、軽く騒ぎ出す。
「ヤバい、さっさと教えてほしいな~」
「誰狙い?」
「もちろん、バスケ部の高上先輩!」
「えーっ、テニス部の土屋先輩でしょ!」
すごく楽しそうだなあ。
「みんな、どの先輩と一緒になるか、気にしてるんだねえ」
そう机に肘をついてつぶやく梓ちゃんは、全く興味がなさそうだ。
「今年は、けっこう人気な先輩が、多いみたいだからね」
「教師側が勝手に組み合わせるのも納得だわ」
「ケンカになりそうだもんね……」
私は盛り上がるクラスメイトたちをチラリと見て、苦笑いする。