李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「それじゃあ、まずは自己紹介から。二年の菊里李世です。このグループになったのも何かの縁ということで、みんなで楽しい思い出が作れたらと思ってます。よろしく!」
「同じく二年の遠見青矢だ。何か分からないことがあったら、遠慮なく聞いてくれ。以上」
ニコニコと明るい声音で話す李世先輩と、無表情で淡々と、でもしっかりと話す遠見先輩。
やっぱりなんだか、対照的だ。
「じゃあ、次はあたしが。一年の葉山梓です。高校に入って初めての大きな行事で、不安もありますが全力で楽しめたらと思います。よろしくお願いします」
さすが梓ちゃん、しっかりしてるなあ。
次は……私か古瀬くん、だよね。
チラリと古瀬くんを見ても、前髪のせいで表情が読めない。
話し出す素振りもないし……私が先に話せばいいのかな?
たとえ全員が知ってる人でも、大人数の前で話すのは……ものすごく苦手だ。
「え、ええと、一年の蓮井陽茉です。その……みなさんと、楽しめたらなと思います。よ、よろしくお願いひまふっ……します」
最悪だ……けっこううまくいっていたのに、最後に思いっきりかんでしまった。
誰も笑ったりしなかったけど……やっぱり、落ちこんでしまう。
「一年の古瀬です。よろしくお願いします」
古瀬くんがシンプルな挨拶を終えても、私はまだ引きずっていた。
……でも。