李世先輩は私のことを知り尽くしている?

遠見先輩が提出するプリントに決まった係をスラスラと書いてくれて、時間内にやるべきことを終えられた。


軽く雑談していると、やがて先生の声が響いた。




「そろそろ時間だから、今から配るプリントを受け取って、全部終わったグループから解散なー!」



他のグループもあっさり決まったようで、どんどん合わせた机をもとに戻していく。

先生から渡されたプリントには、混合グループで集合するときの並び方や、夕食作りの際の調理場の、グループごとの割り当てが示されていた。


特に調理場は、9班と……つぼみちゃんと右隣になっていた。




「陽茉ちゃん、どうかした?」



……無意識に、顔が強張っていたのかもしれない。


ハッと顔を上げると、李世先輩が心配そうに私を見つめていた。




「い、いえ、なんでもないです。自然教室、楽しみすぎて、逆に緊張しちゃって」





笑ってみせると、李世先輩の大きな目が、少しだけ開かれた。


でも、まばたきしたその後には、すっかりいつも通りのカンペキな笑みをたたえていて。



「そっか。俺も今年は引っ張っていく側だから、緊張してるよ」




……私の答えに戸惑っていたように思えたのは、気のせい、だよね。



和くんだけじゃなくて、李世先輩にも心配をかけないように、ちゃんと笑えていたはずだから。
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