李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「バッチリです!」
「李世先輩、ありがとうございます」
「いえいえ。じゃあお礼として、俺のことも撮ってくれる?」
「はい、もちろんです!」
カメラを受け取って、今度は私が李世先輩にレンズを向ける。
「すご。海が似合いすぎて、プロのモデルみたい」
梓ちゃんの率直な感想が、小さくひびく。
本当にその通りだ。
光を反射してキラキラと輝く水面と、爽やかで存在感のある李世先輩の容姿は、信じられないくらいマッチしていて。
目を奪われるあまり、シャッターを切るのを忘れかけた。
「こ、こんな感じでどうでしょうか?」
「どれどれ。うん、すごくいい。陽茉ちゃん、撮るの上手いね」
いやいや、私の腕じゃなくて、被写体がよすぎるだけですから……っ!