李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「い、いえ、そんな。自然教室が終わったら、プリントしてお渡しますね」
「ありがとう。……じゃあ、あともう一枚だけ、お願いしていい?」
「はい!どんな風に撮りましょうか?」
李世先輩は一瞬間を空けた後、一気に言い放った。
「俺、陽茉ちゃんと一緒に写りたい」
「わ、私と……ですか?」
「ダメ?」
李世先輩は眉尻を下げながら、小首をかしげる。
そ、そんな顔されたら、断れないよ。
「い、いえ、私なんかでよければ」
「じゃあ、あたしが撮りますね」
梓ちゃんにカメラを渡すと、おそれ多くも李世先輩の隣に立つ。
「うーん、もう少し距離をつめられる?」
「うっ……うん」
……どうしよう。
なんだかんだ、李世先輩とこんな、肩がふれるくらい近づくのは初めてで(私がスッ転んだ時のことは、別として)。
いつもは普通に話せているのに、過剰なほどに、意識してしまう。
自分の心臓が、うるさい。
こんなんじゃ、写真どころじゃないよ。