李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「陽茉、もっと笑顔で!」
そ、そんなこと言われても……っ。
「はい、チーズ!」
結局、撮れた写真はどれも、私の姿勢や表情がカチコチになってしまっていて。
あともう一枚だけ撮ることになって、もう一度先輩と並んだ時だった。
「ぎゃはははは!」
「おい、やめろって~」
そばではしゃいでいたグループの一人が、盛り上がるあまり、ふらついた。
そのすぐ後ろにいた私は、ビクッと体を揺らす。
――やばい、思いっきり、ぶつかる!
砂浜で足元も悪く、避けることができずに身を強張らせる。
でも。
そんな私の腕を、李世先輩がぐいっと引っ張って。
抱き寄せられる形で、私はぶつかられずに済んだ。