李世先輩は私のことを知り尽くしている?
「ったく、危ないなあ。陽茉ちゃん、大丈夫だった?」
「あ……はい。ありがとうございます」
わ、わ、私、今、先輩の腕の中に……?
李世先輩の体温が、触れ合っている部分からじんと伝わってくる。
でも温度よりも気になるのが、激しく鳴っている心臓の音だった。
……まさかこれって、私の心音なの⁉
バカみたいな速さで脈打ってる私の心音は、先輩にも丸聞こえのはず。
李世先輩はこういうの慣れてそうだし、私だけ死ぬほどドキドキしてるのがバレて、恥ずかしい……っ。
……だから、気のせいだよね?
トクトクと二人の間で駆け巡る心音が、もう一つ聞こえるのは。
「お二人さん、いつまで見せつけてくださるおつもりですか?」
梓ちゃんの声に我に返った私たちは、慌てて距離をとる。