李世先輩は私のことを知り尽くしている?

拒絶

自由時間が終わる頃には日が傾いてきて、海にほんのりと夕焼けが映っている。



私たちは夕食作りのため、すぐそばにあるキャンプ施設に移動した。


そこには簡単な料理ができるくらいの簡易的なキッチン(?)がズラリと並んでいる。

それぞれの台に夕食係さんが、施設の人が用意してくれた大量の食材を運ぶらしい。


私たち7班は、家から持ってきたエプロンやバンダナを身に着けながら、夕食係である梓ちゃんと遠見先輩が戻ってくるのを待っていた。




「陽茉ちゃん、エプロン似合うね」

「り、李世先輩も、お似合いです」

「料理の腕は、からっきしなんだけどね」




本当に、何を着ても似合うなあ。




「……何作るんですか?」




エプロン姿の新鮮な李世先輩をじっと眺めていると、ぼそりと低い声が響く。


声をかけてきたのは、ずっと静かだった古瀬くんだった。



「えと、カレーだよ」

「先生に散々言われなかった?」


「ああ……聞いてなかったかも。すみません」




李世先輩の言う通り、うちの担任もしつこく料理の手順について話していた。


だから、優秀な成績でみんなから一目置かれている古瀬くんが知らないなんて、ちょっと意外かも。


ちなみに古瀬くんは、真っ黒なエプロンに身を包んでいる。


相変わらず伸びきった前髪も相まって、正直、ちょっと怖い。
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