李世先輩は私のことを知り尽くしている?
幸い、転んだのは土の上だったから、ケガはひどくなかった。
起き上がろうとすると、少し角ばった手がすっと伸びてきた。
あまりにもタイミングが良くて、私はなにも考えずに、その手をつかんでしまう。
立ち上がると、今度は男らしい低さに少年らしい高さが少し混じった、心配そうな声が響く。
「あちゃあ、スカートが汚れちゃったね」
自分の足元に目をやると、おろしたてのスカートが土まみれになっていた。
お母さんがこれを見たら、真っ青になってひっくり返ってしまうだろう。
……でも、まだなにか、違和感があるような。