李世先輩は私のことを知り尽くしている?
肝心な味付けの方は、夕食係の二人のおかげで、バッチリだった。
「わっ、おいしい!」
「うまいな!」
味見をさせてもらった私も李世先輩も、思わず目を輝かせる。
「具材の形にも味があっていいですね」
「ちょっと葉山ちゃん、うまいこと言わなくていいんだよ?」
「ふふっ」
デコボコのじゃがいもをお玉ですくってクスリと笑う梓ちゃんに、李世先輩がすかさずツッコむ。
梓ちゃん、李世先輩をたじろがせて、すごく楽しそう……。
普段は頼れるお姉さんタイプだけど、けっこうSっ気もあるのかも⁉
「僕たちの班はけっこう早く作れたみたいだし、もう少し煮こんだら食べようか」
遠見先輩の言う通り、他のグループは手こずっているところも多かった。
正直こういうのって、料理が得意な人がいるかいないかだもんね。
うちの班だって、私や李世先輩はけっこう危なかったんだし。
通路をはさんで隣——つぼみちゃんのいるグループも、明らかにどこかの手順で詰まっているようだった。
……今が、話を聞いてもらえるチャンスかも。
さりげなく、つぼみちゃんの恋を応援するって、伝えないと。