李世先輩は私のことを知り尽くしている?

一応うなずいておいたけど、正直、李世先輩の考えていることが、分からなかった。


私とつぼみちゃんのあんなやり取りを目の当たりにして、「仲直りできる」と言い切るなんて。


それもアドバイスというより、確信に近いなにかが感じられるくらいだ。


李世先輩の目には一体、どんな風に見えていたんだろう……?




「さ、そろそろ班に戻ろう。せっかくのカレーを食べ損ねちゃうよ?」

「で、でも……」

「いいから、行こ」




李世先輩は渋る私の手をとると、元来た道を歩き始めた。



李世先輩って、けっこう強引なところもあるよなあ。


ていうか、さらっと手、つないじゃってるし……!




――先輩とつないだ右手から伝わる、にじむような熱。




まだまだ落ちこんでいる私の凍った心が、少しずつ少しずつ、溶かされていくようだった。
< 94 / 201 >

この作品をシェア

pagetop