李世先輩は私のことを知り尽くしている?
7班の席に戻っても、陽茉ちゃんはうつむいていた。
詳しいことは俺にも分からないけど、そりゃあ、友達だと思っている子からあんな風に言われたら、誰だってショックだ。
でも俺は、二人がすれ違っているだけだと知っている。
陽茉ちゃんが信じるか信じないかは別として、この事実を話すのは、簡単だ。
でも、本来はつぼみちゃんの心を知っている人なんて、この場にいるはずが無いわけで。
二人の問題に、部外者の俺が口出しするのは……ポリシーに反する。
だから……陽茉ちゃんには、伝えられない。
「……ちょっと、お手洗いに行ってきますね」
きっと俺たちに気を遣って、陽茉ちゃんは席を立つ。
このまま行かせたら、帰ってこない気がして……一人になんて、させられなかった。
「あ、俺も行きたい」
そう言って陽茉ちゃんについていくと、明らかに困惑していた。
ごめんね、陽茉ちゃん。
俺、心が読める代わりに、空気は読めないのかも。