夏空、蝶々結び。
それに比べたら、私のことなんて取るに足りない。
馬鹿馬鹿しいとも言えるのだろう。
なのにゴンは、馬鹿にしながらも助言をくれたり――多分、励ましてくれたりしている。
「俺と違って、かなえちゃんは、当たって砕けたくらいじゃ死なないだろ。あんた丈夫そうだし……もっと、どうにかなるよ」
やがて、ゴンも自分の様子に気づいたようだ。
憎まれ口が戻ってきた。
「何よ。私だって、そんなに図太い訳じゃ……」
それに相応しい声を出さなくちゃ。
そう思うのに、掠れるばかりで大した音にはなってくれない。
不満だったのか、ゴンが軽く舌打ちをした。
でも、続く彼の言葉だって、私には不満だったのだ。
「……ま、本当の本当にどうしようもないくらい砕け散ったら……しょうがないから慰めてやるよ」
上から目線で、失礼で、これ以上ないほどムカつくのに。
(……あんた、自分で分かってないでしょ)
――声は、痛々しいほど柔らかい。
「余計なお世話」
(馬鹿ゴン)
いつか……いつかきっと近いうちに。
ゴンの望みが、少しでも叶いますように。