夏空、蝶々結び。
・・・
恥ずかしい。
私はやっぱり、どこかで認めてもらいたがっているのだ。
ベッド寝転がる気力すらなく、ちっぽけなローテーブルに突っ伏したとたん、涙が溢れてきた。
家に着くなり、靴を脱げ捨てたった数歩で辿り着いたのに呆れ果てた顔をしながら、ゴンの目がさりげなく玄関の鍵を確かめたのが見えた。
「言っただろ。誰の仕事だって」
それはつまり、私は何も見てないふりをしながら、こっそりゴンを見上げていたのだ。
「ムカつくの。あいつ、かなえちゃんがああ言い出すの見越してちんたらやってんだから。思うままに手伝っちゃうあんた見てると、腹立つんだよ」
驚いて凝視すると、ゴンが心底面倒そうに頬杖をついていた。
「……あのさ。頑張るのって、全然悪いことじゃないよ」
そのくせ、態度に似合わない言葉を口にするのだ。
上がっていた視線を、再び落とす。
「……でも、そんなの誰が見るの? ゴンの言う通り、一人でいい気になってだけ。それどころか、迷惑がられてるのに」
『自分の為』なんて言いつつも、
『助かったよ』
『ありがとう』
そんなものを期待していた。
誰からなんて、言うまでもなく――。
「俺は見てるけど。ずっと」
思いがけない一言に、時が止まる。
ゴンが瞬きしなければ、固まったまま動けなくなりそうなくらい。
「知り合ってからの期間は短いけど、一緒にいる時間はすげぇ長くない? ……あんたのこと、俺は見てる」