夏空、蝶々結び。
「気がつかなくてごめん」
それなのに同じ女の私ときたら、彼女の素直さや可愛らしさをやっかむばかりで、何も分かっていなかった。
「……っ、何で先輩が謝るんですか……」
私だって、一度は経験したのに。
それが嫌で堪らなくて、今の私ができたのに。
若いからって、女の子だからって、それがどうした。
ここにいるのは子供じゃない。
自立した、一人の女なのだ。
軽視されているのに笑顔で返せるなんて、カナちゃんは私よりもずっと大人だ。
「さっき彼がやってた仕事、心配だからチェックしとこうと思うの」
『お疲れ様でした、かなえ先輩』
(あの調子じゃ、適当にやってそうだし)
チェックするだけして、訂正は本人にさせようと思っていたけれど。
(……すみません、大澤先輩)
「よかったら、手伝ってくれない? 一人じゃ大変だなって思ってたんだ」
実は、もっとやる気の人がここにいる。
「え……は、はい!! 」
カナちゃんの目は、キラキラしていた。
きっと皆、必死になってもがいている。
ただ、それぞれ得意不得意があり……時折躓いてしまう場所が違うだけだ。