夏空、蝶々結び。
その一。プライバシーの尊重。
(特にお風呂、着替え、トイレ等は最大限の配慮を)
→『自意識過剰』と小馬鹿にされた。
その二。お互い、距離感を大切にすること。
(彼が目的を果たし、成仏する手伝いはする。ただし、あまり知りすぎないように心がける)
→『間違っても、好きにならないでね』なんて、ふざけたことを言いやがった。
……ともかく、この二つはせせら笑って――もとい、快諾してくれた。
確かに自意識過剰なのだろうが、すごく重要に思えたのだ。
言い訳がましいけれど、別に何かを期待したのでも、懸念したのでもない。
仮にも男女が同じ部屋に住むのなら、やっぱりルールやボーダーラインはあるべきだ。
他の人達と違うのは、生身の体の有無というところだが。
たとえ恋愛感情が生まれなくても、仲良くなればなるだけ結末はひとつだ。
悲しいさよなら。
それしかあり得ないし、多分――それしかあってはならないのだろう。
ま、彼の態度や性格を考えると、余計な心配なのだけれども。
「あ、そういえば名前」
聞いておいた方がいいか。
これほど四六時中側にいて、お互い『あんた』と呼び合うのも何だし。