時間切れ


4月になり陸が大学4年になった。

来月は、いよいよ陸の司法試験だ!


3月の抗がん治療も落ち着いてきたが、まだ、母さんはいてくれた。

私は起き上がれる日が多くなったある日、一也さんから電話が入った。

「もしもし、ノン! やっと見つかったよ!
ドナーが見つかったって病院から連絡が来たんだよ! ノン!聞いてる?
これから、ウチに戻ってから話すから!」ピッ!

「母さん! ドナーが見つかったって!」

「典子!良かった…良かったね〜」

2人で抱き合って喜んでると、

一也さんがゼェゼェ息を切らして、帰ってきた。

「ハァ、ハァ ノン… 病院から海外のドナーが見つかったって! 
ヨーロッパのドナーなんだって!
向こうの人に、意思確認してからだから少し待つけど、
5月には移植手術が可能だろうって!
ヤッタな! ノン! ノン〜…………」

一也は、ペタリと床に崩れて、泣いていた。

私は一也さんに抱きついて

「一也さん! ありがとう!あり…がとう…
貴方の方が…辛かったでしょう?…」

典子もぽろぽろ泣き、好美も泣いていた。


明日、今後のスケジュールを高野先生から説明があるので、私と一也さんで病院へ行く事になった。


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