ハージェント家の天使
兄として、姉として
モニカも部屋を出て行くと、室内にはリュドとマキウスの2人が残された。
「リュド殿、話しとは……?」
こうして、マキウスがリュドと2人きりで話しをするのは始めてであった。
「マキウス殿」
リュドは険しい顔をして、手を強く握りしめた。
「貴方は妹の旦那でもあり、私の義弟でもある。けれども、私は妹にーー『モニカ』に辛い想いをさせた貴方を許せないでもいる」
先程はモニカの手前、リュドは怒らなかったが、本当は妹を追い詰めたマキウスを許せなかった。
リュドなら、『モニカ』が部屋に籠もるような自体にならなかったかもしれない。階段から落ちるような事も。
リュドはそう考えてしまった。
「そうですね。全てはリュド殿の言う通りです。『モニカ』に辛い想いをさせたのは、ひとえに私にも原因があります」
自分がもっと『モニカ』を大切にしていたら、『モニカ』は部屋に籠もる事はなかったかもしれない。
階段から落ちるような事態にも。
階段から落ちた時、モニカは死ななかったが、それは結果論に過ぎないだろう。
マキウスは目を伏せたのだった。
「私はリュド殿に恨まれても仕方がないと思っています。けれども!」
マキウスは頭を下げた。リュドが息を飲んだ音が聞こえた。
「これからは……、これからは! リュド殿の大切なご家族であるモニカを大切にします。辛い想いをさせないようにします! ですので、どうかモニカを私に託して下さい!」
マキウスはじっと床を見つめ続けた。すると、リュドは「顔を上げて下さい」と静かに告げたのだった。
「リュド殿……?」
「貴族の貴方が、孤児の私に無闇に頭を下げるべきではありません」
「孤児などと……。それ以前に、リュド殿はこの国の英雄でもあります」
レコウユスとガランツスを脅かす犯罪組織の撲滅。それ以外にも、リュドはレコウユスの騎士団から要請があれば、この国に騎士として協力をしてくれていたらしい。
先日、マキウスはこの話を、ヴィオーラから聞いたのだった。
「英雄などと、恐れ多い。私は私に出来る事をやっただけです」
「リュド殿、話しとは……?」
こうして、マキウスがリュドと2人きりで話しをするのは始めてであった。
「マキウス殿」
リュドは険しい顔をして、手を強く握りしめた。
「貴方は妹の旦那でもあり、私の義弟でもある。けれども、私は妹にーー『モニカ』に辛い想いをさせた貴方を許せないでもいる」
先程はモニカの手前、リュドは怒らなかったが、本当は妹を追い詰めたマキウスを許せなかった。
リュドなら、『モニカ』が部屋に籠もるような自体にならなかったかもしれない。階段から落ちるような事も。
リュドはそう考えてしまった。
「そうですね。全てはリュド殿の言う通りです。『モニカ』に辛い想いをさせたのは、ひとえに私にも原因があります」
自分がもっと『モニカ』を大切にしていたら、『モニカ』は部屋に籠もる事はなかったかもしれない。
階段から落ちるような事態にも。
階段から落ちた時、モニカは死ななかったが、それは結果論に過ぎないだろう。
マキウスは目を伏せたのだった。
「私はリュド殿に恨まれても仕方がないと思っています。けれども!」
マキウスは頭を下げた。リュドが息を飲んだ音が聞こえた。
「これからは……、これからは! リュド殿の大切なご家族であるモニカを大切にします。辛い想いをさせないようにします! ですので、どうかモニカを私に託して下さい!」
マキウスはじっと床を見つめ続けた。すると、リュドは「顔を上げて下さい」と静かに告げたのだった。
「リュド殿……?」
「貴族の貴方が、孤児の私に無闇に頭を下げるべきではありません」
「孤児などと……。それ以前に、リュド殿はこの国の英雄でもあります」
レコウユスとガランツスを脅かす犯罪組織の撲滅。それ以外にも、リュドはレコウユスの騎士団から要請があれば、この国に騎士として協力をしてくれていたらしい。
先日、マキウスはこの話を、ヴィオーラから聞いたのだった。
「英雄などと、恐れ多い。私は私に出来る事をやっただけです」