ハージェント家の天使
どこからか、赤子の泣く声が聞こえる。
御國が目を覚ますと、そこは外からの柔らかな光が差し込む部屋だった。
どこかお日様の匂いがする部屋の中の、フカフカのベッドの上に寝ていたのだった。
「ここは……? うっ……」
御國が身体を起こしながら呟くと、頭がズキリと痛んだ。
階段から落下した際に、地面にぶつけた辺りからズキズキと鈍い痛みがしてきた。
御國は頭を抑えたのだった。
頭を抑えながら何気なく下を見ると、見知らぬ白色のネグリジェを着ていた。
寝ている間に、誰かが着替えさせてくれたのだろうか?
そして、目の前二つの大きな膨らみーー自分の胸を見て大きく目を見開く。
Cカップあるかないかの大きさだった胸は、何故かEカップ程の大きさになっていたのだった。
(いつの間にこんなに大きくなったんだろう……?)
パットが入っているだけかもしれないと、試しに軽く胸を掴んでみたが、それは間違いなく自分の胸の感触だった。
「うわあ……」
思わず声が出る。しかし、その声は普段の自分の声とは全く違う、綺麗なソプラノボイスであった。
「ここはいったい……? 私は死んだ筈なんじゃ……?」
「ほんぎゃあ……!」
けれども、御國が考えている間も赤子は部屋の隅に置かれたベビーベッドの上で泣き続けていたのだった。
誰の子かわからない赤子に、勝手に触れていいのだろうか?
ただ、赤子が泣く度に、なぜか御國の胸がぎゅうと締めつけられるように痛くなる。
胸が張っているの間違いだろうか。
(どうしたらいいんだろう……?)
御國がオロオロと迷っていると、頭の中のどこか遠いところから、誰かの声が聞こえてくるような気がした。
ーー行かなければ。大切な子供の元に。
御國はその声に従うように、意を決してベッドから起き上がろうとする。
「うわっ……!」
けれども、足に力が全く入らず、御國はその場に倒れてしまう。
「……っ!」
御國が床に身体をぶつけた痛みに耐えている間も、赤子は泣き続け、頭の中では誰かが赤子の元に行くように訴え続けていた。
御國は力の入らない足を引き摺りながら、壁伝いに歩いて行ったのだった。
ようやく、御國は赤子が泣いているベビーベッドまで来ると、ベッドの柵に掴まりながら何とか立ち上がろうとした。
ベビーベッドの中には、薄いピンク色の産着に包まれた赤子が泣き続けていた。
「ほぎゃあああ! ほぎゃあ!」
御國は頭に薄っすら生える金色の髪を撫でると、ベビーベッドに上半身を乗り出すようにして赤子を抱き上げたのだった。
(抱き方はこれでいいのかな……?)
御國は不安になるが、身体は自然と首の座っていない赤子を支える抱き方になったのだった。
御國はベビーベッドの柵に掴まりながら、ゆっくりとその場に座り込んだ。
そうして、ベビーベッドに寄りかかると、御國が意識するまでも無く、両腕で赤子をしっかりと支えて抱いたのだった。
(なんだろう……? 赤ちゃんなんて抱いた事が無いのに、身体が覚えているみたい)
御國には下に弟妹がいるが、弟妹を抱いた記憶がほとんどいなければ、自分を含めた身内に赤子はいない。
学生時代の友人達に、生まれたばかりの自身の赤子の写真を見せてもらう事はあったが、実際に抱いた事は無かった。
それなのに、なぜか御國は赤子の抱き方を知っていた。
まるで、自分の中にいる「誰か」が覚えているかのようにーー。
「それより、どうして泣いているんだろう? オムツ? 具合が悪いの?」
御國は泣いている赤子に声を掛けるが、返答は全くなかった。当たり前といえば、当たり前だが。
「どうしよう……? 誰か呼んだ方がいいよね?」
御國がベビーベッドの近くにあるドアを見ていると、抱いていた赤子が御國の胸の辺りに吸い付こうとしている事に気づいたのだった。
(もしかして……)
御國はゴクリと飲み込むと、ネグリジェの胸元をそっとはだけさせる。
ネグリジェからプルンと胸が出てくると、赤子を支えている右手を伸ばして、左胸の乳首に触れたのだった。
御國が目を覚ますと、そこは外からの柔らかな光が差し込む部屋だった。
どこかお日様の匂いがする部屋の中の、フカフカのベッドの上に寝ていたのだった。
「ここは……? うっ……」
御國が身体を起こしながら呟くと、頭がズキリと痛んだ。
階段から落下した際に、地面にぶつけた辺りからズキズキと鈍い痛みがしてきた。
御國は頭を抑えたのだった。
頭を抑えながら何気なく下を見ると、見知らぬ白色のネグリジェを着ていた。
寝ている間に、誰かが着替えさせてくれたのだろうか?
そして、目の前二つの大きな膨らみーー自分の胸を見て大きく目を見開く。
Cカップあるかないかの大きさだった胸は、何故かEカップ程の大きさになっていたのだった。
(いつの間にこんなに大きくなったんだろう……?)
パットが入っているだけかもしれないと、試しに軽く胸を掴んでみたが、それは間違いなく自分の胸の感触だった。
「うわあ……」
思わず声が出る。しかし、その声は普段の自分の声とは全く違う、綺麗なソプラノボイスであった。
「ここはいったい……? 私は死んだ筈なんじゃ……?」
「ほんぎゃあ……!」
けれども、御國が考えている間も赤子は部屋の隅に置かれたベビーベッドの上で泣き続けていたのだった。
誰の子かわからない赤子に、勝手に触れていいのだろうか?
ただ、赤子が泣く度に、なぜか御國の胸がぎゅうと締めつけられるように痛くなる。
胸が張っているの間違いだろうか。
(どうしたらいいんだろう……?)
御國がオロオロと迷っていると、頭の中のどこか遠いところから、誰かの声が聞こえてくるような気がした。
ーー行かなければ。大切な子供の元に。
御國はその声に従うように、意を決してベッドから起き上がろうとする。
「うわっ……!」
けれども、足に力が全く入らず、御國はその場に倒れてしまう。
「……っ!」
御國が床に身体をぶつけた痛みに耐えている間も、赤子は泣き続け、頭の中では誰かが赤子の元に行くように訴え続けていた。
御國は力の入らない足を引き摺りながら、壁伝いに歩いて行ったのだった。
ようやく、御國は赤子が泣いているベビーベッドまで来ると、ベッドの柵に掴まりながら何とか立ち上がろうとした。
ベビーベッドの中には、薄いピンク色の産着に包まれた赤子が泣き続けていた。
「ほぎゃあああ! ほぎゃあ!」
御國は頭に薄っすら生える金色の髪を撫でると、ベビーベッドに上半身を乗り出すようにして赤子を抱き上げたのだった。
(抱き方はこれでいいのかな……?)
御國は不安になるが、身体は自然と首の座っていない赤子を支える抱き方になったのだった。
御國はベビーベッドの柵に掴まりながら、ゆっくりとその場に座り込んだ。
そうして、ベビーベッドに寄りかかると、御國が意識するまでも無く、両腕で赤子をしっかりと支えて抱いたのだった。
(なんだろう……? 赤ちゃんなんて抱いた事が無いのに、身体が覚えているみたい)
御國には下に弟妹がいるが、弟妹を抱いた記憶がほとんどいなければ、自分を含めた身内に赤子はいない。
学生時代の友人達に、生まれたばかりの自身の赤子の写真を見せてもらう事はあったが、実際に抱いた事は無かった。
それなのに、なぜか御國は赤子の抱き方を知っていた。
まるで、自分の中にいる「誰か」が覚えているかのようにーー。
「それより、どうして泣いているんだろう? オムツ? 具合が悪いの?」
御國は泣いている赤子に声を掛けるが、返答は全くなかった。当たり前といえば、当たり前だが。
「どうしよう……? 誰か呼んだ方がいいよね?」
御國がベビーベッドの近くにあるドアを見ていると、抱いていた赤子が御國の胸の辺りに吸い付こうとしている事に気づいたのだった。
(もしかして……)
御國はゴクリと飲み込むと、ネグリジェの胸元をそっとはだけさせる。
ネグリジェからプルンと胸が出てくると、赤子を支えている右手を伸ばして、左胸の乳首に触れたのだった。