ハージェント家の天使
「ん? という事は、ペルラさんって元々はマキウス様の?」
「ええ。乳母になります」
「そうだったんですね……」
ペルラとマキウスの会話を聞いていると、どこか母子の様な、親しげな関係のような気がしたが、こういう事だったらしい。
(でも、『マキウス様方』って?)
モニカは首を傾げるが、それについて訊ねる前にアマンテが持っていた羊皮紙をマキウスに渡したのだった。
「それでは、私は旦那様とモニカ様が話しをする間、ニコラ様を預かるように言われておりましたので」
「ええ。そうでした。アマンテ。ニコラをお願いします。モニカ、いいですね?」
モニカが了承すると、アマンテは慣れた手つきでニコラを抱き上げたのだった。
マキウスはついでにアマンテに人払いをするように伝えると、アマンテは「ペルラに伝えます」と答えて、ニコラを連れて部屋を出て行ったのだった。
「さて」
マキウスは先程までニコラが寝ていたモニカの隣に座った。
マキウスの端整な横顔に、モニカの胸は大きく高鳴ったのだった。
「貴方とは、いくつかお話したい事があります」
「はい、私もマキウス様に聞きたい事があります」
モニカが真剣な表情で頷くと、マキウスは先程アマンテに手渡された白い羊皮紙をモニカに渡してきた。
「マキウス様、これは?」
「婚姻届です」
「文字は読めますか?」とマキウスに心配そうに訊ねられて、モニカは受け取った用紙をざっと読んだ。
この世界に来たばかりの、まだ「御國」だった頃は、文字の読み書きは全く出来なかった。けれども、「モニカ」になってからは一通りの読み書きが、出来るようになっていたのだった。
「はい。読めます」
「それなら、良かったです。この婚姻届に名前を書いて欲しいんです。これで、ようやく私達は夫婦になれます」
以前、マキウスはモニカとはまだ婚約関係だと言っていた。
どうやら、「モニカ」はマキウスが用意した婚姻届を頑なに拒否していたらしい。
「子供がいるのに、夫婦じゃないというのは体裁が悪いですからね。私は先に名前を書いています。後は貴方の名前を書いて、騎士団に提出するだけとなります」
もう一度、用紙を読むと、マキウスの名前が書いてあった。
モニカは本棚からインク壺とペンを取り出すと、鏡台に置いた。
「ええ。乳母になります」
「そうだったんですね……」
ペルラとマキウスの会話を聞いていると、どこか母子の様な、親しげな関係のような気がしたが、こういう事だったらしい。
(でも、『マキウス様方』って?)
モニカは首を傾げるが、それについて訊ねる前にアマンテが持っていた羊皮紙をマキウスに渡したのだった。
「それでは、私は旦那様とモニカ様が話しをする間、ニコラ様を預かるように言われておりましたので」
「ええ。そうでした。アマンテ。ニコラをお願いします。モニカ、いいですね?」
モニカが了承すると、アマンテは慣れた手つきでニコラを抱き上げたのだった。
マキウスはついでにアマンテに人払いをするように伝えると、アマンテは「ペルラに伝えます」と答えて、ニコラを連れて部屋を出て行ったのだった。
「さて」
マキウスは先程までニコラが寝ていたモニカの隣に座った。
マキウスの端整な横顔に、モニカの胸は大きく高鳴ったのだった。
「貴方とは、いくつかお話したい事があります」
「はい、私もマキウス様に聞きたい事があります」
モニカが真剣な表情で頷くと、マキウスは先程アマンテに手渡された白い羊皮紙をモニカに渡してきた。
「マキウス様、これは?」
「婚姻届です」
「文字は読めますか?」とマキウスに心配そうに訊ねられて、モニカは受け取った用紙をざっと読んだ。
この世界に来たばかりの、まだ「御國」だった頃は、文字の読み書きは全く出来なかった。けれども、「モニカ」になってからは一通りの読み書きが、出来るようになっていたのだった。
「はい。読めます」
「それなら、良かったです。この婚姻届に名前を書いて欲しいんです。これで、ようやく私達は夫婦になれます」
以前、マキウスはモニカとはまだ婚約関係だと言っていた。
どうやら、「モニカ」はマキウスが用意した婚姻届を頑なに拒否していたらしい。
「子供がいるのに、夫婦じゃないというのは体裁が悪いですからね。私は先に名前を書いています。後は貴方の名前を書いて、騎士団に提出するだけとなります」
もう一度、用紙を読むと、マキウスの名前が書いてあった。
モニカは本棚からインク壺とペンを取り出すと、鏡台に置いた。