ハージェント家の天使
2つの種族と安寧の地
今から800年近く前、とある小さな国があった。
そこでは、とある種族が密やかに住んでいた。
住民の誰もが、頭から犬のような耳を生やし、身体能力に優れ、魔法を使い、その力を生かして他国よりも進んだ技術を持っていた。
その国は、「カーネ国」と呼ばれていた。
そんなある時、近くで大きな戦争があった。
複数の国を巻き込んだ戦争の影響で、その国に住んでいた人間達ーーカーネ国の住民は彼らをユマン族と呼んでいた。はカーネ国に避難してきた。
そこで、ユマン族はカーネ国の住民に驚いた。
カーネ国に住む種族ーー人間達はカーネ族と呼んでいた。は、既に絶滅したと聞いていたからだった。
カーネ族は、ユマン族から事情を聞いた。
彼らに同情したカーネ族は、ユマン族を国に受け入れる事にしたのだった。
けれども、両種族は共存する事が叶わなかった。
ある時からユマン族側は、「自分達はカーネ族より優れた気高い種族だ」と、カーネ族を見下し出した。
一方、カーネ族側も「魔法が使える自分達はユマン族よりも崇高な種族だ」とカーネ族に対抗した。
やがて国内で、ユマン族とカーネ族による内乱が始まった。
最初こそ、魔法が使えるカーネ族が優勢だったが、ユマン族は人間らしい知恵を持ってカーネ族達を圧倒した。
国は傷つき、田畑は荒れ、野盗が出て、孤児が増えた。
残されたカーネ族は自分達の負けを認めると、国をユマン族に譲る事にした。
住む場所を失ったカーネ族は、自分達が持つ魔法と技術を元に新しい国を作る事にした。
その時、とあるカーネ族が言ったそうだ。
「地上に新しい国を作っても、またユマン族達に荒らされる日が来るだろう。それならば、誰も来ないように空に浮かべればいい」
これにはカーネ族は、誰もがその考えに賛同した。
カーネ族には、空に浮かぶ国を作る技術も、浮かべさせるのに必要な魔法も、その中で生活する術も、全て持っていた。
あとは、それを実行するだけであった。
こうして、時間はかかったが、カーネ族達の国は空に浮かんだ。
カーネ族は、この国に「レコウユス」と名前をつけたのだった。
名前の由来は不明だが、一説によると空に国を作る事を提案したカーネ族の名前らしい。
レコウユスに住む事を希望したカーネ族全員が国に入ると、唯一、地上と国を結ぶ道を封鎖した。
そうして、その道は約600年に渡って封鎖される事になったのだった。
時は流れて、約200年前のある時。
封鎖したはずの地上と繋がる道に、何者かがやってきた。
レコウユスの名だたる騎士が武装しつつ、恐る恐る道を開けた。
すると、そこにはユマン族の国である「ガランツス」から来たという王の遣いを名乗る一団がいた。
ガランツスは、600年前にカーネ族が捨てた国に出来た、ユマン族の国の名前だそうだ。
ガランツスからの使者は、国王からの親書を携えていたのだった。
親書にはこう書かれていた。
「600年前の我が先祖達の非礼を侘びて、貴国の知恵を借りたい」
この頃、ガランツスでは作物の不作が続いていた。それにより、国民の大半が飢えており、貧民を中心に餓死が連日相次いだ。
更には、疫病も蔓延し出した。
そこでは、とある種族が密やかに住んでいた。
住民の誰もが、頭から犬のような耳を生やし、身体能力に優れ、魔法を使い、その力を生かして他国よりも進んだ技術を持っていた。
その国は、「カーネ国」と呼ばれていた。
そんなある時、近くで大きな戦争があった。
複数の国を巻き込んだ戦争の影響で、その国に住んでいた人間達ーーカーネ国の住民は彼らをユマン族と呼んでいた。はカーネ国に避難してきた。
そこで、ユマン族はカーネ国の住民に驚いた。
カーネ国に住む種族ーー人間達はカーネ族と呼んでいた。は、既に絶滅したと聞いていたからだった。
カーネ族は、ユマン族から事情を聞いた。
彼らに同情したカーネ族は、ユマン族を国に受け入れる事にしたのだった。
けれども、両種族は共存する事が叶わなかった。
ある時からユマン族側は、「自分達はカーネ族より優れた気高い種族だ」と、カーネ族を見下し出した。
一方、カーネ族側も「魔法が使える自分達はユマン族よりも崇高な種族だ」とカーネ族に対抗した。
やがて国内で、ユマン族とカーネ族による内乱が始まった。
最初こそ、魔法が使えるカーネ族が優勢だったが、ユマン族は人間らしい知恵を持ってカーネ族達を圧倒した。
国は傷つき、田畑は荒れ、野盗が出て、孤児が増えた。
残されたカーネ族は自分達の負けを認めると、国をユマン族に譲る事にした。
住む場所を失ったカーネ族は、自分達が持つ魔法と技術を元に新しい国を作る事にした。
その時、とあるカーネ族が言ったそうだ。
「地上に新しい国を作っても、またユマン族達に荒らされる日が来るだろう。それならば、誰も来ないように空に浮かべればいい」
これにはカーネ族は、誰もがその考えに賛同した。
カーネ族には、空に浮かぶ国を作る技術も、浮かべさせるのに必要な魔法も、その中で生活する術も、全て持っていた。
あとは、それを実行するだけであった。
こうして、時間はかかったが、カーネ族達の国は空に浮かんだ。
カーネ族は、この国に「レコウユス」と名前をつけたのだった。
名前の由来は不明だが、一説によると空に国を作る事を提案したカーネ族の名前らしい。
レコウユスに住む事を希望したカーネ族全員が国に入ると、唯一、地上と国を結ぶ道を封鎖した。
そうして、その道は約600年に渡って封鎖される事になったのだった。
時は流れて、約200年前のある時。
封鎖したはずの地上と繋がる道に、何者かがやってきた。
レコウユスの名だたる騎士が武装しつつ、恐る恐る道を開けた。
すると、そこにはユマン族の国である「ガランツス」から来たという王の遣いを名乗る一団がいた。
ガランツスは、600年前にカーネ族が捨てた国に出来た、ユマン族の国の名前だそうだ。
ガランツスからの使者は、国王からの親書を携えていたのだった。
親書にはこう書かれていた。
「600年前の我が先祖達の非礼を侘びて、貴国の知恵を借りたい」
この頃、ガランツスでは作物の不作が続いていた。それにより、国民の大半が飢えており、貧民を中心に餓死が連日相次いだ。
更には、疫病も蔓延し出した。