ハージェント家の天使
姉弟【下】
マキウスとヴィオーラが会う機会はすぐに訪れた。
モニカがヴィオーラに魔法石の御礼の手紙を出す際に、ヴィオーラとマキウスの休暇は必ず重なるとペルラに教えてもらったからだった。
隊長のヴィオーラが休みの日は、副官であるマキウスを始め、同じ隊に所属している騎士も全員休みになる。
常に最善の力を出して仕事が出来るように、という騎士団の規則にあるらしい。
それを破って仕事をしたり、部下に仕事をやらせて隊長だけ休暇を取った際は処罰もあるというらしい。
また、休暇の数も隊毎に平等になるように、書類仕事担当の騎士ーー主に騎士団所属の女性騎士達、が決めているというのも、驚きであった。
そうして、その調整によって、ヴィオーラの隊に限らず、騎士団に所属する全ての隊は、隊毎に交互に必ず休みになるようになっているのだった。
それを知ったモニカは、御礼の手紙の中で、先日、時間が無くて会わせられなかったニコラを会わせたいという旨を書いた。
ヴィオーラから見て姪に当たるニコラを会わせるのは建前であり、本当はマキウスと話す機会を設けたというのが本命だが。
ヴィオーラからはその意図に気づいたのか、いないのか、判然とはしないがすぐに返事がきた。
返事には、次の休みには、時間が取れるとの事だった。
モニカはヴィオーラに返事を書くと、その日に屋敷に来てくれるようにお願いした。
そして、マキウスには「ヴィオーラが来るから次の休みは予定を入れないで欲しい」、とだけ伝えた。
ヴィオーラにニコラを会わせるとだけ伝えて、ヴィオーラとマキウスが会うという話は敢えてしなかった。
あらかじめ、マキウスにその事を話したら、それこそマキウスは型にはまったような、ありきたりな話しかしないような気がしたからだった。
マキウスに話をした後は、ペルラやアマンテ達にこっそり頼んで、マキウスとヴィオーラが2人きりになれるようにした。
特にペルラとアマンテは、マキウス達の事を気に掛けておりモニカに協力的であった。
モニカはマキウスにバレないように準備をしたのだった。
そうして、当日。
たくさんの手土産と共にやってきたヴィオーラを、モニカは出迎えたのだった。
「こんにちは。ヴィオーラ様」
「モニカさん、こんにちは。本日はお招きありがとうございます」
今日のヴィオーラは、白色のシャツに青色の上着、紺色のズボンに黒色のブーツ姿であった。
その姿は姉弟だけあって、マキウスにそっくりだった。
ヴィオーラ曰く、本来なら貴族の女性としてドレスで着飾るものらしいが、騎士たる自分は動きやすさ重視で男装に近い格好をしてしまうとの事だった。
「今日はモニカさんとニコラさんにお土産を持ってきました。といっても、私が頂いたり、我が家で余っていたものですが……」
ヴィオーラが連れてきた使用人から、持ってきたお土産をモニカは見せてもらった。
お土産は、ヴィオーラが幼少期に着ていた服や、ヴィオーラが着なかったドレス、身につけなかったアクセサリーなどの装飾品類があったのだった。
別の小ぶりの箱には、ヴィオーラが貴族としての「友人」より頂いた菓子や茶葉もあったのだった。
ヴィオーラは申し訳なさそうに言っていたが、モニカには充分過ぎるくらいであった。
「ありがとうございます。ヴィオーラ様!」
モニカはヴィオーラに感謝を伝えると、客間に案内したのだった。
「失礼します。モニカ様、ヴィオーラ様」
モニカ達がヴィオーラから頂いた菓子と茶葉を楽しんでいると、ニコラを抱いたアマンテがやって来た。
「アマンテ! 息災のようでなによりです」
「ご無沙汰しております。ヴィオーラ様」
ヴィオーラとアマンテは顔を合わせると微笑んだのだった。
モニカがヴィオーラに魔法石の御礼の手紙を出す際に、ヴィオーラとマキウスの休暇は必ず重なるとペルラに教えてもらったからだった。
隊長のヴィオーラが休みの日は、副官であるマキウスを始め、同じ隊に所属している騎士も全員休みになる。
常に最善の力を出して仕事が出来るように、という騎士団の規則にあるらしい。
それを破って仕事をしたり、部下に仕事をやらせて隊長だけ休暇を取った際は処罰もあるというらしい。
また、休暇の数も隊毎に平等になるように、書類仕事担当の騎士ーー主に騎士団所属の女性騎士達、が決めているというのも、驚きであった。
そうして、その調整によって、ヴィオーラの隊に限らず、騎士団に所属する全ての隊は、隊毎に交互に必ず休みになるようになっているのだった。
それを知ったモニカは、御礼の手紙の中で、先日、時間が無くて会わせられなかったニコラを会わせたいという旨を書いた。
ヴィオーラから見て姪に当たるニコラを会わせるのは建前であり、本当はマキウスと話す機会を設けたというのが本命だが。
ヴィオーラからはその意図に気づいたのか、いないのか、判然とはしないがすぐに返事がきた。
返事には、次の休みには、時間が取れるとの事だった。
モニカはヴィオーラに返事を書くと、その日に屋敷に来てくれるようにお願いした。
そして、マキウスには「ヴィオーラが来るから次の休みは予定を入れないで欲しい」、とだけ伝えた。
ヴィオーラにニコラを会わせるとだけ伝えて、ヴィオーラとマキウスが会うという話は敢えてしなかった。
あらかじめ、マキウスにその事を話したら、それこそマキウスは型にはまったような、ありきたりな話しかしないような気がしたからだった。
マキウスに話をした後は、ペルラやアマンテ達にこっそり頼んで、マキウスとヴィオーラが2人きりになれるようにした。
特にペルラとアマンテは、マキウス達の事を気に掛けておりモニカに協力的であった。
モニカはマキウスにバレないように準備をしたのだった。
そうして、当日。
たくさんの手土産と共にやってきたヴィオーラを、モニカは出迎えたのだった。
「こんにちは。ヴィオーラ様」
「モニカさん、こんにちは。本日はお招きありがとうございます」
今日のヴィオーラは、白色のシャツに青色の上着、紺色のズボンに黒色のブーツ姿であった。
その姿は姉弟だけあって、マキウスにそっくりだった。
ヴィオーラ曰く、本来なら貴族の女性としてドレスで着飾るものらしいが、騎士たる自分は動きやすさ重視で男装に近い格好をしてしまうとの事だった。
「今日はモニカさんとニコラさんにお土産を持ってきました。といっても、私が頂いたり、我が家で余っていたものですが……」
ヴィオーラが連れてきた使用人から、持ってきたお土産をモニカは見せてもらった。
お土産は、ヴィオーラが幼少期に着ていた服や、ヴィオーラが着なかったドレス、身につけなかったアクセサリーなどの装飾品類があったのだった。
別の小ぶりの箱には、ヴィオーラが貴族としての「友人」より頂いた菓子や茶葉もあったのだった。
ヴィオーラは申し訳なさそうに言っていたが、モニカには充分過ぎるくらいであった。
「ありがとうございます。ヴィオーラ様!」
モニカはヴィオーラに感謝を伝えると、客間に案内したのだった。
「失礼します。モニカ様、ヴィオーラ様」
モニカ達がヴィオーラから頂いた菓子と茶葉を楽しんでいると、ニコラを抱いたアマンテがやって来た。
「アマンテ! 息災のようでなによりです」
「ご無沙汰しております。ヴィオーラ様」
ヴィオーラとアマンテは顔を合わせると微笑んだのだった。