ハージェント家の天使
いや、ニコラがいるから「デキ婚」の方が正しいのかもしれない。
「そうですね……。けれども、私は待てません」
「えっ?」と言う間もなく、マキウスはモニカの腕を引いた。
モニカはマキウスの腕の中に居たのだった。
「マキウス様?」
モニカがマキウスを見上げると、マキウスは微笑んだ。
「確か、ペリドットには、『夫婦の幸福』という意味がありましたね?」
モニカは昨晩の夢を思い出して頷いた。
マキウスは、モニカが首にかけていたネックレスを手に取った。
「貴方が私の妻であり続ける限り、私は貴方を守ると誓っています」
マキウスはネックレスから手を離すと、モニカの肩を掴んだ。
「ペリドットには、もうひとつ石言葉があります。……『信じる心』という意味が」
マキウスは握っていた手も解くと、モニカの顎に触れた。
「貴方が私を信じ続ける限り、私も貴方を信じます。そして、貴方を守り、幸福にし続けると、改めて誓います。このペリドットに誓って」
マキウスはモニカに顔を近づけた。
「なので。私は1日でも早く、貴方と夫婦になりたいと思っています」
息がかかるギリギリまで顔を近づけるが、マキウスはそっと離れようとした。
パサリと、モニカが羽織っていたガウンが床に落ちた。
モニカは自らマキウスに近寄っていくと、マキウスの襟元を引っ張った。
背伸びをすると、目を大きく見開いたマキウスの唇に向かって。
モニカは口づけたのだった。
マキウスの唇に向かって口づけたつもりだったが、モニカの背が低いからか、唇の端に口づける形となった。
2人はそのままでいたが、やがてモニカが襟元を離すと、マキウスはそっと顔を離したのだった。
「も、モニカ!? 一体、何を!?」
マキウスは何度も瞬きをすると、モニカをじっと見つめた。
「私も、自分で何をやっているのかわかりません!」
モニカも赤くなった両頬を手で押さえながら、マキウスを見つめた。
「でも、これだけは言わせて下さい! 私もマキウス様を信じています!」
マキウスは、ハッと息を飲んだようだった。
モニカは両掌を握りしめた。
「私もマキウス様を守りたいですし、マキウス様の事を幸せにしたいです……!」
モニカは目尻に涙を溜めながら、マキウスに向かって叫んだのだった。
モニカ自身も、何故、自分からマキウスに向かって口づけたのかわからなかった。
こんな事、御國の頃だったら絶対にやらなかっただろう。
「守られるばかりは嫌なんです。だって、幸せは、2人で作っていくものだから……! 夫婦なら尚の事!」
「モニカ……」
「マキウス様は子供の頃から、大変な思いをされてきました。だから……。そろそろ幸せになってもいいはずなんです……! いえ、幸せになりましょう!」
マキウスがこれまでどういう人生を送ってきたか、モニカはマキウスやヴィオーラから聞いて知っている。
だからこそ、モニカはマキウスにも幸せになって欲しいのだった。
この感情は、きっとーー。
「マキウス様の事が好きだから……! 愛しているから……! だから、マキウス様にも幸せになって欲しいんです……!」
「モニカ……」
「約束したじゃないですか! 私もマキウス様を幸せにすると……! 私が『モニカ』になった日に」
初めて触れた指の温かさを、今でも覚えている。
御國の頃を合わせても、これまで、誰かを好きになった事は無かった。
だから、この感情が「愛」なのか、モニカにはわからない。
けれども、マキウスを想う度に、いつも胸の中が温かくなっていったのだった。
モニカの目尻から涙が溢れた。
「私も、早く貴方に相応しい妻になりたい……! 早く夫婦になりたいです……!」
すると、マキウスは「わかっています」と、モニカを抱きしめたのだった。
「貴方の気持ちはわかっています。でも、男としての見栄を張らせて下さい」
「マキウス様……」
モニカはマキウスの胸の中に顔を埋めた。
そうして、肩を震わせたのだった。
モニカの心臓が激しく高鳴っていた。
けれども、それはマキウスも同じようだった。
その音を心地良いと思いながら。
モニカはマキウスの胸の中に居たのだった。
「そうですね……。けれども、私は待てません」
「えっ?」と言う間もなく、マキウスはモニカの腕を引いた。
モニカはマキウスの腕の中に居たのだった。
「マキウス様?」
モニカがマキウスを見上げると、マキウスは微笑んだ。
「確か、ペリドットには、『夫婦の幸福』という意味がありましたね?」
モニカは昨晩の夢を思い出して頷いた。
マキウスは、モニカが首にかけていたネックレスを手に取った。
「貴方が私の妻であり続ける限り、私は貴方を守ると誓っています」
マキウスはネックレスから手を離すと、モニカの肩を掴んだ。
「ペリドットには、もうひとつ石言葉があります。……『信じる心』という意味が」
マキウスは握っていた手も解くと、モニカの顎に触れた。
「貴方が私を信じ続ける限り、私も貴方を信じます。そして、貴方を守り、幸福にし続けると、改めて誓います。このペリドットに誓って」
マキウスはモニカに顔を近づけた。
「なので。私は1日でも早く、貴方と夫婦になりたいと思っています」
息がかかるギリギリまで顔を近づけるが、マキウスはそっと離れようとした。
パサリと、モニカが羽織っていたガウンが床に落ちた。
モニカは自らマキウスに近寄っていくと、マキウスの襟元を引っ張った。
背伸びをすると、目を大きく見開いたマキウスの唇に向かって。
モニカは口づけたのだった。
マキウスの唇に向かって口づけたつもりだったが、モニカの背が低いからか、唇の端に口づける形となった。
2人はそのままでいたが、やがてモニカが襟元を離すと、マキウスはそっと顔を離したのだった。
「も、モニカ!? 一体、何を!?」
マキウスは何度も瞬きをすると、モニカをじっと見つめた。
「私も、自分で何をやっているのかわかりません!」
モニカも赤くなった両頬を手で押さえながら、マキウスを見つめた。
「でも、これだけは言わせて下さい! 私もマキウス様を信じています!」
マキウスは、ハッと息を飲んだようだった。
モニカは両掌を握りしめた。
「私もマキウス様を守りたいですし、マキウス様の事を幸せにしたいです……!」
モニカは目尻に涙を溜めながら、マキウスに向かって叫んだのだった。
モニカ自身も、何故、自分からマキウスに向かって口づけたのかわからなかった。
こんな事、御國の頃だったら絶対にやらなかっただろう。
「守られるばかりは嫌なんです。だって、幸せは、2人で作っていくものだから……! 夫婦なら尚の事!」
「モニカ……」
「マキウス様は子供の頃から、大変な思いをされてきました。だから……。そろそろ幸せになってもいいはずなんです……! いえ、幸せになりましょう!」
マキウスがこれまでどういう人生を送ってきたか、モニカはマキウスやヴィオーラから聞いて知っている。
だからこそ、モニカはマキウスにも幸せになって欲しいのだった。
この感情は、きっとーー。
「マキウス様の事が好きだから……! 愛しているから……! だから、マキウス様にも幸せになって欲しいんです……!」
「モニカ……」
「約束したじゃないですか! 私もマキウス様を幸せにすると……! 私が『モニカ』になった日に」
初めて触れた指の温かさを、今でも覚えている。
御國の頃を合わせても、これまで、誰かを好きになった事は無かった。
だから、この感情が「愛」なのか、モニカにはわからない。
けれども、マキウスを想う度に、いつも胸の中が温かくなっていったのだった。
モニカの目尻から涙が溢れた。
「私も、早く貴方に相応しい妻になりたい……! 早く夫婦になりたいです……!」
すると、マキウスは「わかっています」と、モニカを抱きしめたのだった。
「貴方の気持ちはわかっています。でも、男としての見栄を張らせて下さい」
「マキウス様……」
モニカはマキウスの胸の中に顔を埋めた。
そうして、肩を震わせたのだった。
モニカの心臓が激しく高鳴っていた。
けれども、それはマキウスも同じようだった。
その音を心地良いと思いながら。
モニカはマキウスの胸の中に居たのだった。