あの丘の向こうで
時間を少し遡ること10分―――
亜紀人は一人の青年と対峙していた―――


亜紀人「なんでお前がここにいるん?クロム国諜報部最高司令官サリーはん!」

青年はふっと鼻で笑い亜紀人に微笑む。

サリー「それはまだスピッツには死なれては困るからですよ。」

亜紀人「はっ!そいつは聞き捨てならん話やね。」

逃がすまいと真っ赤な二本の刀でサリーに斬りかかるが全て空を切ってしまう。

サリー「おっとっと!君とは殺り合うつもりないから…今回は逃げさせてもらうよ。」

サリーが手を顔の前に持ってくると床に魔方陣が展開する。

亜紀人「ちっ…転移魔方かい。ワイがそんなに怖いんかいな?なぁサリー!!」

サリー「思い上がるなよ屑が!君の技は僕には通用しないの知ってるでしょ?」

亜紀人「ふんっ…次会うときはちゃんと殺したるさかい、首洗って待っときや!」

亜紀人が喋り終わると魔方陣と共に二人は消えていなくなった。



亜紀人「ふぅ…」

一息つくと赤かった刀身と瞳が元の色に戻り、雰囲気もいつもの亜紀人に戻る。

亜紀人「お疲れ様『紅花』。よしっ!愛しのハニーの所に行かねば!」

亜紀人は二本の刀を腰に差してある鞘に戻す。そして教室から一目散に飛び出し絵美里たちのいるあの丘に向かう。

荒れ放題の教室に目も向けずに………




.
< 18 / 20 >

この作品をシェア

pagetop