あの丘の向こうで
ガヤガヤ…
ガヤガヤ…

ありふれた教室の風景。
暇さえあれば隣の席の友達と昨日のテレビ番組や昨日の出来事など様々な会話が飛び交っている。

ガヤガヤ…
ガヤガヤ…

亜紀人「なぁ…」

隣の席の女の子に話しかける。この少年の名前は雨宮 亜紀人(アマミヤ アキト)。現在進行形でシカトされ中である。

ガヤガヤ…
ガヤガヤ…

亜紀人「なぁってば!」

ガヤガヤ…
ガヤガヤ…

亜紀人「………………」

ガヤガヤ…
ププガヤ…

亜紀人「おいそこ〜〜!!!!」

声のした方向にビシっと人差し指を向けるがそこには掃除用具が置いているだけである。

ガヤガヤ…
ガヤガヤ…

亜紀人「………俺が悪かったから許してください。」

絵美里「フッ………」

亜紀人「おい!!鼻で笑うなよな。」

亜紀人の隣の席で鼻で笑ったこの少女は神影 絵美里(ミカゲ エミリ)。剣道三段の保持者で武術の心得がある。

絵美里「だってあまりにも惨めで笑わずにはいられなかったんだもん。」

亜紀人はほぼ毎日のように酷い扱いを受けている。にもかかわらず学校には休むことなく来ている。このことから導き出せる答えは…

ガヤガヤ…
ガヤガヤ…

絵美里「もしかしてあんた変態なの?」

シーン…

亜紀人「えっ?なんでみんな静かになるわけ?」

ガヤガヤ…
ガヤガヤ…

絵美里「で、変態なわけ?」

亜紀人「変態なわけないだろ!!何しに毎日学校に来てると思ってんだよ?」

絵美里「いじられたいから来てるんじゃないの?」

ガヤガヤ…
シーン…

亜紀人「なにとんでもないこと言っちゃってるの?俺が毎日来てる理由は…」

絵美里「理由は?」

ガラガラ!!

亜紀人「光ちゃんに会いに来るためだぁ〜!!」

またもビシ!!っという効果音をつけて開いた教室のドアに指を向ける。




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