あの丘の向こうで
光「はぁ…はぁ………はぁ…どうしてこの世界には魔法がないんだろ。」

光は今、息を切らしながら学校までの坂道を走っている。

光「魔法があればこんな坂道なんかに労力使わないのに。
海翔さんの世界には魔法があるんだろうか…

そんなことより遅刻しちゃうよ〜〜!!」

先ほどよりも走るスピードを上げて一気に坂道を走り抜けて校門に滑り込む。



光「ギリギリセーフ!」

先生「んなわけないだろうが!1分の遅刻だ!」

間にあったと思いきや、どこからか涌いて出てきた担任が仁王立ちしていた。

光「1分ってどれだけ厳しいんですかこの学校は!」

先生「そんなの俺に聞くな。文句なら校長にでも言うんだな。」

担任が話終えると踵を返して教室に向かおうとする。

光「まったく。魔法が使えればこんな苦労しないのになぁ…」

担任の足がふと止まる。

先生「今何て言った?」

光「えっ?魔法が使えればって言いましたけど?」

先生「そんなものあるわけないだろ。早く教室に行くぞ。」

二人は教室に急いで向かう。

光はこのあと、後悔することになる―――


平穏な日常にはもう戻れないことに―――


運命の歯車がもう少しで噛み合う―――




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