解けない愛鎖
「リナ?よかった。もう出てくれないかと思った」
耳に押し当てたスマホから、一年ぶりのヒロキの声が聞こえてきた。
あたしの名前を呼ぶ、懐かしい低い声。それを聞いてしまうと、ダメだった。
好きだった、好きだ、今も。そんな気持ちが溢れ出して喉に詰まって、声が出せない。
「リナ?聞こえてる?」
「聞こえてる……」
必死で絞り出したあたしの声を聞いて、ヒロキがふふっ、と緩く笑う。
その声が、またひどく懐かしくて。あたしの心を激しく揺さぶった。
「リナ、今ひとり?」
「ひとりだけど」
「まだ外?今日、サエたちと飲んでたんでしょ?」
「シュウくんからの情報?」
「そうそう」
一年ぶりだというのに、ヒロキはまるであたし達のあいだに途切れた時間などなかったように普通に話してくる。