解けない愛鎖
「どれどれー?」
「イケメン?」
好奇心いっぱいの目でスマホを覗き込んできた友人たちだったけど。あたしの婚約者の顔を見てなんとなくトーンダウンする。
「あれ、予想してたよりもふつう。悪い意味じゃなくて、ふつう」
「リナが選んだ男だから、絶対にすごいイケメンなんだと思ってた」
「でも、服装お洒落だし優しそうじゃん」
口々に勝手なことを言う彼女たちに苦笑しつつ、テーブルの上からスマホを撤退させる。
「だから言ったでしょ?みんなの期待とは違う、って。でも、優しいよ。すごく。ちゃんとあたしの考えを聞いてくれるし、価値観が合う。一緒に生活していくイメージが持てる人」
左手薬指に嵌めた指輪を撫でながら婚約者の彼のことを話すあたしを見て、友人たちが一様に目を丸くした。
「まさか、リナからそんな言葉が聞ける日が来るとは思わなかった」
「あたしもそう言えるような人に出会いたいよ」
「リナも大人になったねー」
横からえっちゃんにグリグリと頭を撫でられて、ははっと苦笑いする。