解けない愛鎖
「一年も連絡とってなかったのに、リナだって俺に会いたくて走ってきてくれたんでしょ?」
「違う……」
つい走ってしまったのは、決してあたしの意志なんかじゃない。
固い表情を崩さないあたしに、ヒロキが一歩距離を詰めてくる。
「リナが違う、って言うならそれでもいいけど。それより、結婚祝い持ってきた」
下げていた細長い紙袋からヒロキが取り出したのは、赤いリボンが巻かれたワインの瓶。
「どういうつもり?」
「だから、リナの結婚のお祝い。一緒に飲もうよ」
「どこで?」
「んー。ここから俺ん家は遠いし、やっぱリナん家じゃない?」
「ふたりで?」
「人数多いほうが楽しいだろうけど、もう遅いし他のやつは呼び出せないよね。俺にふたりで祝われるのは微妙?」
にこっと微笑まれて、返答に困る。
会いたかっただとか、結婚祝いだとか。突然現れたヒロキが何を考えているのか理解できなかった。