解けない愛鎖
プレゼントされたときは嬉しくて、一生大事にしようと着けていたネックレスを、あたしはヒロキと別れた今でも首元にぶら下げている。
長く着けすぎているせいか、それがないとなんとなく一日中落ち着かない気持ちになるのだ。
「気に入ってるから」
ブレないように答えた。その言葉は本音だけれど、ヒロキと別れてからもそのネックレスを外せずにいるのは、僅かに残る未練。
それを悟られないようにヒロキの目を真っ直ぐに見据えると、彼が人差し指の先であたしの首筋をつっ、と撫でた。
「へぇ。今の彼氏に怪しまれたりしないの?」
「出会ったときから着けてたから。怪しまれるも何もない」
「そっか」
ふふっとどこか嬉しそうに笑いながらあたしの首筋をなぞるヒロキの人差し指には、シルバーの指輪が嵌められている。
再会したときから気付いていて、なるべく見ないようにしていたそれは、あたしが就職したときにヒロキにプレゼントしたものだった。